コインのグレーディングとは

コインを購入する方のためのコインのグレーディング基準をここでは簡単に紹介していく。コインの状態を正確に把握することは、収集や取引において非常に重要視される。コインは状態によって価値が大きく変動するからである。状態が良いコインとは、それだけ発行当時に近い状態を保持しているものを指す。状態を把握・明確化しておくことで、収集や取引がより充実したものとなることだろう。

コインのグレーディングの歴史

7世紀にリディア王国で誕生したコインは瞬く間に世界に拡がり、今日にまで至る。コイン収集家は古代から既に存在し、現在までコイン収集の文化は脈々と受け継がれてきた。コインはデザインや稀少性の他、先にも述べたように状態が非常に重視される。そのため、かつてからコインの状態を表現するグレーディングが行われてきた。その後、長い年月を経て、1948年にグレーディングの国際規格となる70段階のシェルドンスケールが制定された。ワールド・スタンダートとなっているアメリカのNGC及びPCGS等の鑑定機関は、この70段階のシェルドンスケールを用いてコインをグレーディングしている。細かく区分された等級を与えることで、価値基準をより明確化するためである。しかし、一般的にはもう少し大まかな形でコインの状態を表現することが一般的である。以下、その例を挙げる。

コインのグレーディング表

英国式 国際規格 日本式 状態説明

FDC(Fleur de coin)

MS/PF(PR)65~70 完全未使用品 製造当時の状態を保持した流通痕の全くない完璧な状態。

UNC(Uncirculated)

MS/PF(PR)61~64 未使用品 流通による摩耗は見られないが、僅かな傷などがある状態。

AU(About Uncirculated)

AU58~MS/PF(PR)60 準未使用品 流通の痕跡はほとんどないが、僅かな摩耗が見られる状態。

EF(Extremely Fine)

AU55~AU58 極美品 流通の痕跡が見られるが、デザインや銘文は明瞭な状態。

VF(Very Fine)

EF40~AU53 美品 流通の痕跡がはっきりと見られ、デザインや銘文に潰れが見られる状態。
F(Fine) VF20~VF35 並品 流通した痕跡がひどく、摩耗してデザインや銘文が不鮮明な状態。
G(Good) F8~F15 劣品 流通した痕跡が激しく、全体的なディテールが失われて鑑賞に堪えがたい状態。

 *数字が高いほど状態に優れ、発行当時に近い状態であることを示している。

 

【状態別の写真事例】

UNC(Uncirculated)

流通による摩耗は見られないが、僅かな傷などがある状態。

 

AU(About Uncirculated)

流通の痕跡はほとんどないが、僅かな摩耗が見られる状態。

 

EF(Extremely Fine)

流通の痕跡が見られるが、デザインや銘文は明瞭な状態。

 

VF(Very Fine)

流通の痕跡がはっきりと見られ、デザインや銘文に潰れが見られる状態。

 

F(Fine)

流通した痕跡がひどく、摩耗してデザインや銘文が不鮮明な状態。

 

 G(Good)

流通した痕跡が激しく、全体的なディテールが失われて鑑賞に堪えがたい状態。

 

 P(Poor)

流通による痕跡が激しく、彫刻の凹凸がなくなり、かろうじでデザインの特定はできるものの、量目も目減りしており、鑑賞にひどく耐えがたい状態。製品化が難しいこうした状態のものは溶かされ、新たな素材や製品として生まれ変わっていく。

 

【価値を落とす外的要因】

以下、コインの価値を著しく落とす人為的なダメージを紹介していく。また、そうしたものはNGCやPCGSなどの鑑定会社は数字をつけず、Details評価となる。

 

Cleaned

最も一般的なコインの価値を落としてしまう外的要因。不適切な洗浄を指し、主に薬品を使った激しい洗浄が原因となる。不自然な光沢が発生し、フィールドに細かい傷がつく。

 

 Edge Damege

エッジに人為的に刃が入れられた致命的な欠点。

 

Edge Bump

コインを落とした際にエッジがへこんでしまったもの。

 

コインの価値を守るには、下手に手を加えず、なるべく現状維持を心掛けることが求められる。コレクターたちは、コインが持つ歴史的な価値を次の世代にバトンタッチする役目も担っているとも言えよう。